珍しい田楽踊り「矢代田楽」

京北の矢代中町にある日吉神社では毎年秋まつりがあり珍しい「矢代田楽」が奉納されます。

矢代田楽は日吉神社の例祭において舞殿にて演じられます。例祭は毎年10月15日と定められていますが、近年はそれに近い休日に営まれていて、2024年は10月20日(日)に営まれます。

田楽とは、古来より国や人々の生活を支えていた稲作にかかわる行事や祭礼などから生まれた歌舞のことで、「矢代田楽」は南北朝時代に起源をもち、約700年もの長い間日吉神社の氏子によって伝承されてきた芸能で、京都府の無形民俗文化財の指定を受けています。

日吉神社 矢代田楽
10月20日(日) 午前11時頃から
京都市右京区京北矢代中町 日吉神社

午前11時、田楽を演じるメンバー(田楽衆)は祭礼が終わると、一の鳥居と二の鳥居の丁度中ほどにある倉庫へ向かい、そこで花笠をかぶり楽器を手にします。 準備が整うと田楽の幟を先頭に、本殿前の二の鳥居に向かいます。

一行が鳥居の手前までやってくると、サカキの枝に天狗の面をつけた禰宜(ねぎ=神職)が出むかえ、鳥居前で田楽衆を祓い清めます。 その後田楽衆は舞殿に上がり、舞殿を1周して所定の位置につき踊りを始めます。

田楽を演じるメンバーは、笛1人、ビンザサラ(木の板が88枚繋がった打楽器)4人、太鼓4人の計9人。 
笛の先導でビンザサラ役と太鼓役が楽器を打ちながら踊ります。
ビンザサラ役は黒の、太鼓役は白の素襖(すおう)姿で、ともに松竹の文字が書かれた花笠をかぶっています。 踊りは背を丸めて前屈の姿勢で足を高く上げて、足をおろす時には千鳥掛けに踏み替えながら、輪になって踊ったり(輪舞)、向かい合って寄りあうように踊ります(寄り舞)。 
かなりの体力が必要な難しい踊りですが、昔に較べると随分と簡素化されているのだそうです。

矢代田楽は、輪踊や2列になって踊る形式が失われておらず、千鳥がけの所作などは田楽が能に近づいていく過程で農民によって伝習されたものと考えられています。

この矢代田楽も氏子の高齢化がすすみ、これからの踊りの伝承をどうするかという現実的な問題も抱えているということです。

名称 日吉神社 矢代田楽
所在地 京都市右京区京北矢代中町宮ケ谷54
ja Japanese